宮本研究室は、研究室はシステム創成学科・専攻以外にも、理学部地球惑星科学科・専攻、総合研究博物館にもまたがっており、それぞれに所属する学生・職員で構成されています。研究室では、JAXAやNASA、ESA(ヨーロッパのNASA)、CNES(フランスのJAXA)、DLR(ドイツのJAXA)と連携しながら、主に以下の内容の研究を実施しています。学部生の頃から、さまざまな探査計画で得られた実際のデータに触れたり、探査計画に関連した研究を実施することができます。東京ドームシティにある宇宙ミュージアムTeNQ事業にも関わっており、学術普及活動も研究室の活動のひとつに挙げられます。

1. 太陽系探査計画の推進と探査技術の開発

MMX計画(Image Credit: JAXA)

はやぶさ2小惑星探査機や火星衛星サンプルリターン計画(MMX)など、主にJAXAが進める探査計画に参加し、小惑星や火星、月、衛星に関する研究を進めています。特に固体天体の表層に関する地質学的、地球物理学的な研究を行っており、各天体の比較を通じて地球の特に表層環境の特異性・普遍性を明らかにしようとしています。さらに電波サウンダ―や高エネルギー粒子トモグラフィ技術など、本格的な宇宙資源探査に向けた新しい探査手法の開発も、国内外の研究者らと進めています。代表的な論文として、以下があります

宮本教授はJAXAの火星衛星サンプルリターン計画のサイエンスボードメンバーであり、かつ表面環境・地質学のサイエンスチームのリーダーを務めているので、この関係の研究をしたい方はすぐに活躍できます。関連する院生は、この計画の正式メンバーとして登録され、JAXAから資金援助を受けて研究発表や論文執筆などを行っています。2021年度からは、これに加えて、LUPEXというJAXAの月探査ローバの検討も進めており、こうした計画に直接関与した研究を、卒業論文から行うことができます。

2. 科学的知見に基づく宇宙資源の研究

太陽系を構成する300万個以上の天体には、無尽蔵の資源とエネルギーがあります。これらを人類が利用する日は来るのでしょうか?各国の宇宙探査プロジェクトは近年勢いを増し、太陽系に関する人類の理解は急速に進んでいます。私たちはこうした科学的知見に基づき、固体天体の表面状態や元素・鉱物の濃集プロセスに関する理解を深めることで、次世代資源とみられる地球外資源(宇宙資源)の実態を捉えようとしています。代表的な論文として、以下があります:

上に述べたLUPEXミッションは、月資源を見つけるためのミッションです。私たちは、資源量を見積もるための地中レーダーと呼ばれる機器の開発を行っています。この機器を使って、エジプトのクフ王のピラミッドを調査するプロジェクトにもかかわっており、希望者はピラミッドに実際に行って調査を行い、将来の月探査に生かすべく技能を習得することもできます。コロナ禍で悩ましいところですが、エジプト政府には是非来てくれと言われています。

3. 資源と文明の俯瞰的解析と学術普及活動

人類の活動域を宇宙へと広げるのは、喫緊でなく次世代の課題でしょうか?こうした社会的な問いに合意を形成するには、理・工学のみならず、人文・社会科学も含めた俯瞰的な視点で議論し、これを広く一般に普及することが重要です。そこで私たちは総合研究博物館と協働し、文明や資源に関する幅広い切り口の展覧会を開催しています。年に30万人も訪れる宇宙ミュージアムTeNQ事業もその一部です。代表的な論文や記事として、以下があります

研究室の学生の希望者は、このミュージアムのスタッフとしてバッチをもらって、空いた時間にアルバイト(といっても研究するだけ)をしながら東京ドームの社員食堂などにも出入りしています。2021年度は特に、この宇宙ミュージアムの展示物や展示手法等を大幅に見直すことを予定しています。そのため科学でサイエンスを広める仕事、文科系や芸術系の専門家、実業界の方々らとプロジェクトを動かしてみたい方は、この関係で卒業論文を書くこともできます。

研究室の活動をまとめてくれた記事は沢山あります、たとえば以下をご覧ください


研究室で募集している学生像は、先端的な研究を遂行することに強い興味を持ち、スタッフらと一緒に熱心に研究に打ち込んでくれる方です。いま研究室に所属している学生さん(総勢11名)はかなり意欲的で、修士の頃から国際学会で発表したり、国際誌に論文を書いたりしていますが、これは研究室での普段の討論・論文レビューが活発であるからです。そのため楽に卒業したいというのが目的の方は、ちょっとやりにくいかもしれません。

4年生から、本格的な専門家になるための修練をはじめますので、博士課程に進学することを希望するような専門家指向の学生さんが向いています。宇宙や地球科学に知識や興味が無くても問題なく、先端的な研究をすることに興味を持っていることが重要です。こうした理由から配属時に定員を超えている場合、学部での成績ではなく、本人の資質や希望する方向性に研究室がどれくらいマッチしているのか、その学生の能力をどれほど私たちが伸ばせるのか、という点を重視して配属される方を決定します。

ちなみに研究室で博士号を取得してから就職に困った例は無く、JAXAや海外の宇宙機関、大学の研究/教育職(要するに教授候補)、または宇宙ベンチャー等に就職/起業しています。修士課程で就職を選ぶ場合も、こうした熱心な学生さんが多いためか、就職ランキング上位の人気企業(国内・外資の有名コンサル、商社、メディア等)に就職が決まっていて、就職に困ったような話は聞いたことがありません。

世界的には修士号はほとんど意味がなく、政界や経済界であっても博士号(PhD)を武器として活躍する方が多いことは、昨今の新型コロナ感染症関連の報道等でもお気づきの方が多いと思います。私は今後ますます各自の専門性を問われることとなり、若いうちにPhDという武器を手にしておく方がはるかに安定した人生を歩めるのではないかと考えています。そのため学生さんには5年間きっちり研究を行ってもらい、ある程度の論文にまとめ、これを名刺代わりに有能な宇宙関連の専門家として、学術分野だけでなく、メディアや産業界、経済界など幅広い分野に飛びこんで行ってもらいたいと考えています。なおシステム創成学専攻は資金援助も多く、研究の多様性が広く認められていますから、博士号取得までの障壁は低いと思います。

現在研究室で実施している研究は、機械学習による探査画像のデータ解析、月・火星地下探査用のレーダー機器開発、宇宙資源開発のための全く新規の理論的研究、小惑星の模擬物質を使った実験的研究などです。学生さんは研究内容を強要されることはありません。各自の興味と強みに応じて、じっくりと研究分野を議論してからテーマを絞っていきます。また、前提となる知識や経験はありません(学部生ならとくにこれはあたりまえ)。数値計算を主とする人もいれば、画像を丁寧に目で見て分類する画像地形学のような緻密な作業を武器とする人もいます。地質学をきちんと学んで、惑星地質学で勝負する人もいれば、機械学習をうまく使って高効率でデータ処理をする人もいます。学生さんによって興味やスキルの幅が広いので、それぞれの方の適性や希望にあわせて方向性を指導します。詳しい話は直接メール等で問い合わせてください。

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